るさんちまん

技術メモとか雑記とか

「割り込みタスクが多くて困ってます」と相談を受けたらマネージャーはどうするか

はじめに

@dora_e_m さんのエントリがあまりに素敵だったので、僕も感化された "割り込みタスク × マネージャー" のネタを書くことにしました。

note.com

このエントリでは、エンジニアとデザイナーのマネージャーをしている筆者が、メンバーから「割り込みタスクが多くて困っているんですがどうしたらよいでしょう」と相談されたときにするアドバイスをまとめました。ちなみに全て実際に体験したことです。

※必ずしもこれら2職種でしか適用できない内容ではないですが、発想・解決のしかたが開発に依るところが大きいです。

なお、アドバイスの内容は個人でできるライトなものからタスクの依頼主に働きかけが必要なヘビーなものまであり、実際にアドバイスする順に並べるとこのようになります。

  1. [個人] 割り込みタスクの優先度を過剰に高くしすぎていませんか
  2. [個人] 割り込みタスクにかけている時間はどれくらいですか
  3. [個人] 定型化することでコストを減らせますか
  4. [チーム] チームで負荷分散できませんか
  5. [チーム] 割り込みタスク分の工数を定常タスクに組み込めませんか
  6. [依頼主] チームとして受入可能な割り込みタスクの量を依頼主と相談してみましょうか

順に説明します。

1. [個人] 割り込みタスクの優先度を過剰に高くしすぎていませんか

割り込みタスクを依頼された場合に、「いま取り組んでいるタスクをただちに中断してそちらに取り組もうとする」メンバーがいます。

Slackなどのチャットツールで依頼のメンションがあったときに"常に"即レスしているようなメンバーです。

割り込みタスクに過剰に反応するあまりスイッチングコストが高くなり生産性が下がっている場合には、「(本番障害など即対応が必要なもの以外は)自身の作業のキリがいいところまでやってからレスするので十分ですよ」とアドバイスをするようにしています。

タスク管理に慣れていないジュニアなメンバーや、責任感・自責心の強いリーダータイプに多く見られる傾向です。

2. [個人] 割り込みタスクにかけている時間はどれくらいですか

割り込みタスクは誰にとっても気持ちのよいものではないですが、人によって受けるストレスの大きさが違います。

「割り込みタスクが多くて困る」と感じるタスク頻度のしきい値が人によっては日に1度だったり週に1度だったり月に1度だったりします。

なので、マネージャーとして正しく状況を把握して適切なアドバイスをするために割り込みタスクの頻度やそれらにかけている時間をヒアリングします。

相談を受けた時点でその情報がない場合には、メンバーに集計してもらってから再度話します。

割り込みタスクにかけている時間から具体的な対処が必要かどうかを判断し、必要なければ様子見、必要があれば3に進みます。

3. [個人] 定型化することでコストを減らせますか

割り込みタスクの種類にもよりますが、同じようなタスクが高頻度でくる場合にはシステムで全部/一部を自動化できないか検討します。

例えば、LayerXさんはZoomの背景作成をシステムで自動化したことでデザイナーの工数がゼロになっています(すごい)!

tech.layerx.co.jp

タスクの内容を把握するためのコミュニケーションコストの大きさに課題がある場合には、タスクの依頼方法をGoogleフォームやSlack Workflowなどで定型化することで、質問⇔回答のラリーを減らすことを提案します。


メンバーに割り込みタスクについて相談されたときには、その場で1〜3の話をすることが多いです。これらのアドバイスで解決しない場合には本腰を入れて4以降の方法を検討します。

4. [チーム] チームで負荷分散できませんか

歴史的経緯やドメイン知識の多寡、相談のしやすさなどの理由からチームの中で特定のメンバーに割り込みタスクの依頼が集中していることがあります。

その場合は、チームの他メンバーもタスクを引き受けることで負荷分散できないか考えます。

必ずしもそのメンバーでなくてもタスクを引き受けられる場合には、割り込みタスクの依頼主に対して、依頼先を個人でなくチームにするよう促します。

ドメイン知識量などの問題から負荷分散が難しい場合には、ペアで作業したりドキュメンテーションすることで知識の平準化を進めます。

ただ、チーム全体で割り込みタスクに苦しんでいる場合や知識の平準化がすぐにできない場合にはこの方法だけでは対処できないので5に進みます。

5. [チーム] 割り込みタスク分の工数を定常タスクに組み込めませんか

チーム全体に割り込みタスクが恒常的にきてしまっている場合には、割り込みタスクに対応するための工数を定常タスクに組み込みます。

例えば、チーム全体で1週間に最大で取り組めるタスク量を10、週あたりの平均の割り込みタスク量を2とします。

その場合、定常タスクを10積んでしまうと割り込みタスクの分だけチームのキャパシティーをオーバーしてしまうため、あらかじめ最大タスク量10から割り込みタスク量2をひいた8だけしか定常タスクを積まないこととします。これにより、割り込みタスクがあってもチームのキャパシティーを超えることはありません。

この方法にも弱点があり、割り込みタスク量の変動が大きい場合にはうまくいかないのと、割り込みタスクの絶対量が多すぎる場合には定常タスクを圧迫してしまうため本来チームで取り組みたいタスクに取り組めなくなってしまいます。

その場合には依頼主との交渉が必要になり、6に進みます。

6. [依頼主] チームとして受入可能な割り込みタスクの量を依頼主と相談してみましょうか

割り込みタスクの量が多すぎてチーム内でできる工夫だけでは解決しない場合、依頼主と交渉することになります。

依頼主といいつつ、実際にはタスクを依頼した当事者でなく部署になるでしょう。というのも、多くの場合当事者間だけでは部署をまたいだお互いのタスクの優先度判断ができないためです。

自部署の目標・ロードマップと他部署のそれを突き合わせた上で、自部署として受け入れるタスクの量、時期について合意を得る作業が必要となります。

併せて、タスクを割り込みでなくあらかじめ計画されたものとして自部署の目標に組み込むことができないかも検討します。

※筆者が実際に経験したケースについては長くなるのでこのエントリでは省略しますが気になる人はぜひ会ったときにでも聞いてください!

おわりに

「自分はこうしてるよ〜」という意見があればはてブのコメントやXで引用していただけるとめちゃくちゃ嬉しいです!

また、8/28(水)に開催予定のEM FESTに参加予定なので、参加される方はぜひぜひお話ししましょう〜

connpass.com